「公然の秘密」2026.3

2026年08月07日

 久しぶりのブログ更新となります。ブログの更新がなかった時期にも、「カンガルー・ノート」「棒」など、月1回のペースで読書会を継続しておりました。

 さて、7月26日(日)のことですが、「公然の秘密」を取り上げて、第17回読書会を行いました。前回の「棒」でたいへん多くの方にご参加いただいたことの反動なのか、参加者は前回よりもやや少なめでした。それでも、下は高校生から上は80代の方まで、様々な背景を持った方々が参加してくださいました。参加者が前回よりも少ないぶん、お一人お一人にたっぷりご発言いただき、じっくり腰を据えて話し合うことができました。

 この作品は、見たばかりの夢をテープレコーダーに吹き込み、それをもとにして書かれたとされています。そのため、一見すると荒唐無稽ともとれるような物語であり、もとより語り手の信頼性そのものも揺らいでいます。しかしそのぶん、安部公房らしい、読者に揺さぶりをかける作品であるともいえるでしょう。読書会では、「なぜ現れたのが象なのか」「教科書に採録された実績があるが、教材としてふさわしい作品か」「現実として起きている事象と重なるのではないか」など、多様な観点から作品について掘り下げていきました。またこの作品は、初出時にはなかった表現が多数追加されていたり、また初出時の表現が削除されていたりと、非常に異同の多い作品だということがわかりました。そのため読書会の後半では、それぞれの異同について、はたしてその変更が奏功しているのかどうかという点をめぐって、たいへん議論が盛り上がりました。

 90分間の読書会で語り尽くせなかったことは、懇親会に持ち越しです。今回もたくさんのタイ料理を囲みながら、いろいろなことに話題が及びました。

 次回の読書会「鳥羽耕史先生と読む安部公房」は、9月6日(日)の18時から、「箱男」で行います。「箱男」を取り上げるのは、2年ぶりになります。以前参加なさった方もはじめての方も、ご参加をお待ちしております。

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